新世界訳
エホバの証人の聖書

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マタイ 18:22

◇ 新世界訳参照資料付き聖書 ◇ (エホバの証人)
イエスは彼に言われた,「あなたに言いますが,七回までではなく,七十七回までです。

◇ 新共同訳聖書 ◇ (カトリックとプロテスタント)
イエスは言われた。「あなたに言っておく。七回どころか七の七十倍までも赦しなさい。



◇ 新世界訳参照資料付き聖書, マタイ 18:22, 脚注

「七十七回」,創 4:24と一致させて。字義,「七の七十倍」。



創世記 4:24

◇ 新世界訳参照資料付き聖書 ◇ (エホバの証人)
カインについて七倍の復しゅうがあるなら,レメクについては七十と七倍」。



 このような訳文の違いはどのようにして生じるのでしょうか。
 イエスはユダヤ人でしたので、ギリシャ語ではなくヘブライ語(もしくはヘブライ語の派生言語であるアラム語)を話しただろうということが言われています。しかし、イエスについて記録した福音書はすべてギリシャ語で書かれています。そこで、聖書に記されているイエスの言葉はすべてヘブライ語からギリシャ語へと翻訳されたものであるという可能性を考えなければなりません。
 特にマタイ福音書については、現存していない一番最初の原本はヘブライ語で書かれ、後にそれがギリシャ語に翻訳されたという言い伝えがあります。
 新世界訳聖書は、このギリシャ語の言い回しはヘブライ語からの不完全な訳であろうと考えたようです。そうすると、このギリシャ語の表現はヘブライ語法の一形態だと考えて読まなければなりません。創世記 4:24のギリシャ語セプトゥアギンタ訳(七十人訳)には全く同じ訳が用いられていますから、そう読むべき可能性は高いようです。



マタイ 18:22 原典

λέγει αὐτῷ ὁ Ἰησοῦς οὐ λέγω σοι ἕως ἑπτάκις ἀλλὰ ἕως ἑβδομηκοντάκις ἑπτά



創世記 4:24 LXX

ὅτι ἑπτάκις ἐκδεδίκηται ἐκ Καιν ἐκ δὲ Λαμεχ ἑβδομηκοντάκις ἑπτά



◇ ギリシア語新約語法, 蛭沼寿雄 (表記修正)

ヘブライ語原文は שִׁבְעִים וְשִׁבְעָה (シブイーム ウェシブア―) ‘seven(fold) and seventy’ で「77倍」である。七十人訳は接続詞 וְ (ウェ) ‘and’ を省略したため70+7か70×7かわからなくなった。……ここは、恐らく「77度」とすべきであろう。



 岩隈直訳聖書も新世界訳聖書と同意見であるようです。



マタイ 18:22

◇ 岩隈直訳聖書 ◇ (プロテスタント)
イエースースは彼に言われる、「わたしは君に言う、七回までではなく、七十七回までだ。」



 これは単なる翻訳の問題なのでしょうか。そうでないかもしれません。この表現が創世記 4:24と同じであることは、それが実質的に誤訳であることを併せて考えると、それが意図的な借用であることを強く示唆しています。創世記 4:24は罪に報復することについて「七倍と言わず七十七倍を」ということを言っているのですから、イエスが罪を許すことについて語るにあたって同じ言い回しを用いたことには神学的に大きな意義があります。しかもこれはギリシャ語の言い回しの借用なのですから、もしかするとイエスはギリシャ語を話すユダヤ人だったのかもしれません。ですから、この聖句はその言い回しが成立するに至った二つの可能性を示しています。キリストの口からこの言葉が語られた時に表現が採用された可能性と、後日それが記録された時に表現が採用された可能性です。