エホバの証人の聖書

テモテ第一 1:14

和文新世界訳聖書(エホバの証人)
しかし,わたしたちの主の過分のご親切が,信仰と共に,またキリスト・イエスに関連した[と共に],大いに満ちあふれたのです。

新改訳聖書(ファンダメンタル)
私たちの主の、この恵みは、キリスト・イエスにある信仰と愛とともに、ますます満ちあふれるようになりました。


 この聖句について、岩村義男氏は「神のみ名は「エホバ」か」の本の中でこのように指摘しています。

このテモテ第一 1章14節では、『新世界訳』翻訳委員会の語学力のレベルに改めて首をかしげざるをえません。王国行間逐語訳を参照してください。“in Christ Jesus”(キリスト・イエスにある)は何を修飾しているでしょうか。直前の「信仰と愛」“faith and love”であることは、英語力が少しでもあればすぐに分かるはずです。(表記修正)

 岩村氏は続けてこのように指摘します。

テモテ第二 1章13節も、テモテ第一 1:14と同じギリシャ語表現です。これを見ても、『新世界訳』が一貫した翻訳とは、とても言えません。正確には「キリスト・イエスにある信仰と愛」と翻訳すべきです。

 ここは、ギリシャ語原典を見ると、西洋言語において一般的な、“A and B of C”の問題であることが分かります。このような構文ではCがAとBにかかっているのか、それともBのみにかかっているのかが問題になります。文法的にはどちらにも読めますので、神学上の問題がなければどちらの読み方もできます。
 王国行間逐語訳に掲載されている英文新世界訳聖書の訳文はこうなっています。

英文新世界訳聖書(エホバの証人)
But the undeserved kindness of our Lord abounded exceedingly along with faith and love that is in connection with Christ Jesus.

 英文新世界訳聖書は“are”ではなく“is”を用いていますので、その読み方は和文新世界訳聖書と同じとなります。
 一方のテモテ第二 1:13は、ギリシャ語原文に多少の違いはありますが、問題の性質は同じです。

テモテ第二 1:13
和文新世界訳聖書(エホバの証人)
キリスト・イエスに関連した信仰と愛をもってわたしから聞いた健全な言葉の型を常に保ちなさい。
英文新世界訳聖書(エホバの証人)
Keep holding the pattern of healthful words that you heard from me with the faith and love that are in connection with Christ Jesus.

 ほぼ同じ構文であるにもかかわらず、こちらの方では新世界訳聖書は異なる読みをしています。そこで、岩村氏による「一貫性に欠ける」との指摘はもっともだと思います。

 このように聖書にほとんど同じである複数の表現が見られる場合、翻訳者はふつう、訳文は統一されるべきだと考えます。しかし、新世界訳聖書の翻訳者はそう思っていないようです。原文が完全に一致していなければ訳文を変えてみるという傾向が観察されます。英文新世界訳聖書にしても1950年から改訳が行われていないところを見ると、何か思うところがあってそうしているのではないかと思います。

 語学力に関する岩村氏の指摘は彼自身の問題でしょう。


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