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「要求するのではなく、励ましと導きを与えなさい」
2002年5月1日更新

 エホバの証人は、自分の子供に熱心に道徳教育を施すことで知られる人たちです。一般社会の子供たちの道徳水準がますます低下しているのに対し、エホバの証人の子供たちの水準は高く保たれており、それは学校での行状や成績、さらには就職や結婚、ひいては人生そのもののあり方において良い成果をもたらしています。
 それは本来称賛されるべき点ですが、人々の中には、熱心な宗教教育を受ける子供たちのことを心配し、「エホバの証人の親は、自分の正しいと思うことをただ無理強いするだけの強引な教育を行っているのではないか」と言う人もいます。
 エホバの証人に反対する人たちの中には、そのようにして子供の教育に失敗したエホバの証人の実例を際限なく誇張して紹介し、エホバの証人はまさしくそのような宗教だと宣伝する人もいます。
 ここで紹介されている教育記事は、エホバの証人の親に対し、何かを無理強いするよりも子供を教育する点で優れた方法があることを教えるものです。
 この記事を調べられるなら、エホバの証人の親たちが、子供の教育に関してどのような指導と教育を受けているか、そして、エホバの証人の教育の指針が「要求」ではなく「励ましと導き」であることが分かるでしょう。
「要求するのではなく、励ましと導きを与えなさい」
 親が、何かを話そうとする子供の努力を励ますのは良いことです。子供の見方によって問題が浮き彫りにされる場合もあります。それに、問題をはっきりと理解していれば、解決するのもずっと容易です。しかし、子供の言うことにどんな反応を示すかということは、子供に話させるのと同じほど大切です。ペアレンツ誌の編集次長ウェンディ・シューマンは、子供にどう話しかけたらよいかについてアドバイスを与えています。「親子の対話に関する最近の研究の多くは、……共感を言葉で表わすことを基礎的な中心概念としている。しかし共感だけでは不十分であり、それが共感を示す言葉に変換されなければならない。そしてこれは、大抵の親の口から自然には出てこない」。
 言い換えれば、もし子供が敬意を欠いたことをしたり、矯正を必要とするようなショッキングなことをしたりしたなら、態度や声の調子に不快感やいら立ちを表わさないよう懸命に努力すべきだということです。もちろん、言うのはたやすくても、実際に行なうのは大変です。しかし、「ばか」とか「何一つまともにできないのね」といった厳しい返事や子供をけなすような返事によって、すでに難しくなっている事態が改善されることは決してないという点を忘れてはなりません
 ほめることによって、特に子供に何かを言い聞かせる前にほめることによって共感を示すなら、望ましい結果の得られる場合があることに気づいた親は少なくありません。ここにもまた、子供の目を通して見る機会があります。大抵の子供は、そのようなほめ言葉に隠れた動機があったり、それが心のこもったものでなかったりすると、それを非常に敏感に察知します。ですから子供をほめるときには、必ず心からほめなければならず、子供はそれに値していなければなりません
 児童心理学者のハイム・G・ジノット博士は、自著「親と子の間」の中で、親は人格をほめるのではなく、達成したことをほめるべきであると述べました。例えば、子供が本立てを作って、それを得意げに見せにきたとしましょう。『この本立ては見た目もいいし、使いやすいな』と言うならば、子供は自信を持てます。達成した事柄をほめられているからです。そのほめ言葉は子供にも納得がゆきます。しかし、『おまえは立派な大工だ』と言われても、納得がゆかないかもしれません。子供自身に注意が向けられているからです。
 ジノット博士はこう述べています。「大抵の親は、子供をほめれば子供は自信を持つようになり安心すると思っている。だが実際には、ほめ言葉が緊張や非行の原因になる場合もある。……親が子供に『本当にいい子だね』と言っても、子供が自分を全く違った目で見ているなら、納得できないかもしれない。……子供の人格上の特性をほめるのではなく、むしろその努力や達成した事柄をほめるべきである。……ほめ言葉には、二つの面がある。一つは親の言葉であり、もう一つは子供の推論である。親は、子供の努力、仕事、達成した事柄、助け、思いやりなどを高く評価していることをはっきりと述べるべきである」。
 ほめ言葉に関するこの健全な提案は、聖書の箴言 3章27節にあるような、寛大さを示すようにという霊感を受けた助言とも調和しています。そこには、「行なう力があなたにあるのに、良いことに値する人たちからそれを差し控えてはならない」と記されています。―新国際訳。
 子育てのことを、息子や娘を育て上げる20年計画と呼ぶ人もいますが、実のところ、どんなに良い助言や賢明な諭しを読んだとしても、子育てに近道はないと言えます。これには、辛抱や愛、それに理解や思いやりが必要です。しかし、子供の行動を「子供の目を通して」見て理解することを学ぶのは、成功するための大きな助けになります
 「賢い子は父を歓ばせる」と、賢王ソロモンは書きました。(箴言 10:1) 子供の考え方や物の見方をよりよく理解することによって、あなたもそれと同じ喜ばしい経験ができますように。
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