JWPC - Jehovah's Witnesses Press Club
輸血拒否のための法的・技術的情報
法定代理人と強制輸血について
2001年5月1日更新

海外では、輸血を拒否したエホバの証人に対して医師が輸血を強制しようとし、裁判所命令を取り付けるという事例が報告されていますが、日本においてはどうでしょうか。
日本においては、医師や病院は輸血を強制するために裁判所命令を取り付ける手続きを踏むべき義務はなく、また権利もありません。
これは、日本の法律において医師は法定代理人とは見なされないためです。
これは結果的に、輸血を拒否するエホバの証人のみならず、輸血拒否患者を扱う医師にとっても守りとなっているようです。
医師は輸血を拒否する患者に対してなんら法定代理人としての義務を負わないため、その意思を尊重することによって医療過誤ひいては殺人罪に問われる可能性はありません。
一方、輸血を拒否した患者に親族がいた場合、親族は法定代理人として裁判所に強制輸血の命令を申請することができます。
もっとも、このような申請があったとしても第一に尊重されるべきなのは患者の権利であるということは言うまでもありません。
もしも患者が精神異常者であったり他の何らかの原因により自己決定能力が失われていたりした場合にのみ、裁判所は強制輸血の命令を下す可能性があります。
しかし、患者が正常な精神状態にある時点で、事前の指示書ならびに委任状を作成し、その中で法定代理人を指定しているなら、仮に当人が自己決定能力を失ったとしても、裁判所はその法定代理人を差し置いて強制輸血の命令を下すことはできません。
そのため、エホバの証人の多くは、「医療に関する事前の指示および継続的委任状」と題する文書を作成しています。
なお、海外では、強制輸血を取り付けようとした医師や親族が「エホバの証人はマインドコントロールされているゆえに正常な判断が下せない」という主張を行う場合がありますが、このような主張はまず認められません。
(患者が未成年者である場合については別項をご覧下さい)
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