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フランスとイタリアのエホバの証人が決議を採択
2002年6月1日更新

 2001年8月、フランスとイタリアのエホバの証人は、「神の言葉を教える者」特別大会において決議を採択しました。

 近年、ヨーロッパでは、「全体主義的なセクト」の危険に人々が注目するようになっています。警戒の矛先はエホバの証人にも向けられ、マスコミなどがエホバの証人の信条や行動を繰り返し批判するようになりました。
 エホバの証人が熱心に聖書伝道に励むことは、全体主義宗教における隷従の結果であると見なされます。エホバの証人が現代の道徳規準を退け、聖書の道徳規準に従う立場を守っていることは、信者の私生活に対する不当な干渉が行われているためであると見なされます。エホバの証人の教育制度は、信者に対する過剰な思想統制をもたらすものであるとして非難されます。エホバの証人の組織制度は、結局は権力主義の所産にすぎないと断定されます。エホバの証人が子供に宗教教育を施すことは、子供をもてあそび、その権利を奪うものだと評価されます。
 しかしエホバの証人は、批判者がエホバの証人を評価するときに引き合いに出すような不健全な形態の信仰ではなく、むしろ、キリスト教の健全な信仰を実践します。このことは、エホバの証人の信条や行動が、決して全体主義の所産ではないことを証明するものです。
 エホバの証人は、近年エホバの証人を批判するために提出されている議論のほとんどが、実際にはキリスト教の健全な信仰を否定する類のものであることをよく理解しています。今、エホバの証人に求められているのは、そのような危険な論法に足を取られることなく、これまで自分たちが守ってきたキリスト教の正統な信仰を守り抜くことです。
 エホバの証人の行動が変わることはありません。世がそれを不健全と決めつけるからといって、キリスト教の健全な信仰を放棄することはありません。むしろ、エホバの証人は、世が危険と見なしている信条や行動のより熱心な実践によって自らを明らかにし、それが健全であることを世に知らしめます。
 この決議は、そのようなエホバの証人の決意を表明するものです。

 決議文は以下の通りです。


序文
 今回の『神の言葉を教える者』大会に集まった、わたしたちエホバの証人すべては、きわめて有益な教えを受けることができました。この教えの源は、明確に特定されています。この教えは人間に由来するものではありません。古代の預言者イザヤが、わたしたちの『偉大な教訓者』と描写した方からのものです。(イザヤ 30:20) イザヤ 48章17節にあるエホバの諭しに注意を払ってください。『わたし、エホバは、あなたの神、あなたに自分を益することを教える者、あなたにその歩むべき道を踏み行かせる者である』とありす。エホバはこのことをどのように成し遂げておられるでしょうか。その主要な方法は、世界で最も広く翻訳され頒布されている本、聖書を通して教えることです。聖書は明快に、『聖書全体は神の霊感を受けたもので……有益です』と述べています。―テモテ第二 3:16。
 今日、人類はそうした有益な教えを大いに必要としています。なぜそう言えるのでしょうか。絶えず変化し複雑になってゆく現在の世界情勢について考えるとき、理性を働かせる人々は何を認めるでしょうか。まさしく次の点です。つまり、非常に多くの人々が世のさまざまな教育を受けているにもかかわらず、悲しむべきことに真の価値基準は失われ、善悪の区別が見られない、ということです。(イザヤ 5:20,21) 聖書の知識がない人は大勢います。科学技術のおかげで、コンピューターを用いてあふれるほどの情報が得られますが、人生の目的は何か、現代のさまざまな出来事をどう理解すべきか、確固たる将来の希望はあるのか、平和と安全は果たして実現するのかといった、肝要な疑問の答えはどこに見いだせるでしょうか。さらに、図書館の棚に並ぶ参考資料は膨大なページ数に上り、人間が努力を傾けてきたほぼすべての分野を網羅しています。それでも、人類は過去の過ちを繰り返します。犯罪は急増しています。根絶されたと思われた病気が再び発生し、エイズなど他の病気が恐ろしいくらいにまん延しています。家族生活は、途方に暮れるほどのペースで崩壊しています。汚染によって環境が破壊されています。テロ行為や大量殺戮兵器は、平和や安全を脅かしています。解決策のない問題が山積しています。この危機の時代に仲間の人間を助けるため、わたしたちの果たすべき役割は何でしょうか。人類の窮状の原因を明らかにし、現在の生活の改善方法を示すにとどまらず、明るくて確かな将来の希望をも与えてくれる教えがあるでしょうか。
 わたしたちの聖書的な任務は、『行って、すべての国の人々を弟子とし、キリストが命令した事柄すべてを守り行なうように教える』ことです。(マタイ 28:19,20) この任務は、イエス・キリストが死んで復活し、天と地におけるすべての権威を授けられたときに、そのイエスから与えられました。それは人間の奨励するあらゆる活動を超越しています。神の見地からすれば、義に飢えている人たちの霊的な必要に焦点を当てたわたしたちの任務は、最優先すべきものです。わたしたちには、その任務を真剣に受け止めるべき、もっともな聖書的理由があります。
 ですから、そうした活動を生活の中で常に第一にすることが求められます。注意をそらす数々の影響や障害、また世界的な教育プログラムの発展を妨げようとする宗教分子や政治分子からの反対があるとしても、神の祝福と助けによって業は成し遂げられます。わたしたちは、この業が引き続き繁栄し、見事に完遂されることに確信と信仰を抱いています。なぜそのように固く信じられるのでしょうか。それは、主イエス・キリストが、まさに事物の体制の終結に至るまで、神から与えられた奉仕の務めを行なうわたしたちと共にいると約束してくださったからです。
 苦悩する人類にとって、時は尽きようとしています。現在わたしたちが担っている任務は、最終的な終わりが到来する前に果たされなければなりません。それゆえ、わたしたちエホバの証人は、次のことを決議します。
決議文
1.わたしたちは献身した奉仕者として、王国の関心事を生活の中でいつも第一にし、霊的に成長し続けることを決意しています。そのため、わたしたちの祈りは、詩編 143編10節の、『あなたのご意志を行なうことをわたしに教えてください。あなたはわたしの神だからです』という言葉に調和したものです。ですから、毎日聖書を読み、個人研究や調査に励む良い研究生であることが求められます。わたしたちは自分の進歩がすべての人に明らかになることを目指して、会衆の集会や巡回大会、地域大会、全国大会、国際大会で与えられる神権的な教育のために準備し、そこから十分の益を得られるよう、道理にかなったあらゆる努力を払います。―テモテ第一 4:15。ヘブライ 10:23-25。

2.神から教えられるため、わたしたちは専ら神の食卓で自分を養い、人を惑わす悪霊の教えに関する聖書の警告によく留意します。(コリント第一 10:21。テモテ第一 4:1) 宗教上の偽り、無駄な論議、恥ずべき性の倒錯、ポルノという疫病、低俗な娯楽、また何であれ『健全な教えにかなって』いないものなど、有害な要素を避けるよう特に用心します。(ローマ 1:26,27。コリント第一 3:20。テモテ第一 6:3。テモテ第二 1:13) 健全な事柄を教える資格にかなった『人々の賜物』を高く評価し、その努力に心から敬意を払います。また、神の言葉の、清くて義にかなった道徳規準や霊的規準を擁護する面で、それらの兄弟たちに喜んで協力します。―エフェソス 4:7,8,11,12。テサロニケ第一 5:12,13。テトス 1:9。

3.クリスチャンの親として、わたしたちは言葉だけでなく手本によっても子どもたちを教えるよう真剣に努力します。わたしたちの主要な関心事は、子どもたちが『聖なる書物を学び、賢くなって救いに至る』よう、幼い時から援助することです。(テモテ第二 3:15) エホバの懲らしめと精神の規制とをもって子どもを育てるなら、『あなたにとって物事は良く運び、あなたは地上で生き永らえるであろう』という神の約束を味わう最善の機会を子どもに与えられるということを、しっかりと思いに留めます。―エフェソス 6:1-4。

4.わたしたちは思い煩いや深刻な問題に直面したとき、まず『わたしたちの請願を神に知っていただくように』します。『[人間の]一切の考えに勝る神の平和』に守られるという保証があるからです。(フィリピ 4:6,7) キリストのくびきのもとにいるわたしたちは、さわやかさを見いだします。神が顧みてくださることを知っているので、ためらわずに思い煩いを神にゆだねます。―マタイ 11:28-30。ペテロ第一 5:6,7。

5.神の言葉を教える者になるという特権を与えてくださったエホバへの感謝の表明として、わたしたちは『真理の言葉を正しく扱い、自分の奉仕の務めを十分に果たす』よう努力を続けます。(テモテ第二 2:15; 4:5) 関係する事柄に対する鋭い認識を持つわたしたちの心からの願いは、ふさわしい人々を探し出し、まかれた種を育てることです。加えて、さらに多くの家庭聖書研究を効果的に司会することにより、自分の教え方を向上させます。それによってわたしたちは、『あらゆる人が救われて、真理の正確な知識に至る』という神のご意志にいっそう調和することができます。―テモテ第一 2:3,4。

6.前世紀の間じゅう、また今世紀に入ってからも、エホバの証人は多くの国や地域で、さまざまな形の反対や迫害を経験してきました。しかし、エホバは確かにわたしたちと共にいてくださいました。(ローマ 8:31) 神の絶対確実なみ言葉の保証によれば、王国を宣べ伝えて教える業を妨害し、減速させ、停止させる目的で『わたしたちを攻めるために形造られる武器はどれも』功を奏することはありません。(イザヤ 54:17) わたしたちは、順調な時期にも難しい時期にも、真理を語るのをやめるわけにはいきません。宣べ伝えて教える任務を、緊急感をもって果たすことを決意しています。(テモテ第二 4:1,2) わたしたちの目標は、神の王国の良いたよりをすべての国の人々に可能な限り十分に伝えることです。それによって、義なる新しい世で永遠の命を得るための備えについて学ぶ機会が、引き続き人々に開かれます。神の言葉を教える者たちの一致した群衆として、わたしたちの抱く決意は、偉大な教え手イエス・キリストの手本に倣いつづけ、その敬虔な特質を反映することです。わたしたちは、偉大な教訓者また命の与え主であられるエホバ神の誉れと賛美のために、これらすべてを行ないます。


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