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フランスのエホバの証人に課税処置
1999年11月22日更新

1998年6月22日、フランスの当局はエホバの証人に対する制裁として、およそ70億円の課税を行いました。
これは、エホバの証人は危険なカルト教団であるゆえに非営利団体とは認められないという理不尽な主張に基づくもので、国内でも大きく批判されています。
課税された金額は、フランスのエホバの証人の1年間の活動資金を大きく上回るものであり、額においても不当な内容となっています。

フランスでは、過去にも1996年1月に国会に提出された、エホバの証人がカルトであり危険であるとする報告書が物議を醸しており、この事件はその延長線上にあります。

ル・モンド紙は今回の事件に関して、「今回の当局の決定も、もっと筋が通っていれば説得力のあるものになっていたはずだ」と述べ、その正当性に疑問を投げかけました。

また、「目ざめよ!」誌1998年11月22日号は、フランスにおけるこの制裁処置に言及しています。

その記事によると、このフランス当局のとった措置はフランスが加盟しているヨーロッパ人権裁判所の決議に背くものであり、「国境なき人権」はこれを「危険な先例」と見なしているとのことです。
またこの記事は、ヨーロッパ人権裁判所がエホバの証人のことを「よく知られている宗教(公認できる宗教)」と繰り返し認定したこと、ヨーロッパ連合が信教の自由を保障していることなどを挙げています。
さらにこの記事は、フランス政府内においても、エホバの証人の地位を認める所と認めないところがあると指摘しています。
具体的には、内務省と宗教省とがエホバの証人のことを宗教団体と認めておらず、他の省やフランス行政裁判所はエホバの証人を宗教団体と認めています。

今回の事件に見られるような、フランスをはじめとするヨーロッパ各国における近年のエホバの証人に対する不寛容は度を超えており、多くの権威者たちがそのことに警笛を鳴らしています。

イタリアのカトリックの学者であるイントロビンヤ氏は、「フランスの公立学校で長年立派に働いてきた教師たちが、エホバの証人であるというだけで解雇されている」と述べ、問題は「少数派の宗教団体に対する欺瞞的で、得てして全く不正確な情報と、偏狭な世界観を広めた運動」にあると述べました。(「目ざめよ!」誌1998年7月8日号)
また、米国民主主義・人権・労働局による「1997年人権報告書」は、「民主主義の伝統の長い国でさえ、本質的な違いのある少数派の宗教グループを十把一からげに“カルト教団”として、その自由を制限しようとしてきた」と述べています。
また、米国務省に「海外信仰の自由諮問委員会(SDACRFA)」が設置され、1997年2月13日に初会合を開いた際には、エホバの証人に対する人権侵害は主要な論点として取りあげられました。
このように、以前はエホバの証人に対して攻撃的だったカトリック教会を始めとする多くの宗教団体、そして人権擁護団体が現在エホバの証人の宗教団体としての立場を認め、その人権を擁護しています。
また、ヨーロッパ人権裁判所のような権威ある司法機関もエホバの証人のことを擁護し、一貫してエホバの証人勝訴の判決を下してきました。
ヨーロッパ委員会の議員であるライモ・イラスキビ氏は、今回の件について、「様々な国や様々な宗教団体に広がりかねない先例を設けることになるかもしれない」と危惧を表明しています。
また、法学講師であるジャン-マルク・フロラン氏は「それはフランスと種々の自由の行使にとってひどい打撃であり、カトリック教徒として憂慮に耐えない」と述べています。

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