エホバの証人の聖書

日本聖書協会への質問状

 日本聖書協会に出していた質問状の回答が寄せられました。
 学術資料として価値がありますので公開いたします。

1.日本聖書協会はエホバの証人の新世界訳聖書に対して何らかの公式の見解を有しているか
(過去に新世界訳聖書について述べた文書等を発行しておられましたら、その内容をお知らせしていただけると幸いです)

日本聖書協会は、「新世界訳聖書」に対する公式な見解を有していません。

2.日本聖書協会は「教派にとらわれない」活動を行うと謳っているが、エホバの証人とその新世界訳聖書については、その存在すら無視しているように見える。
このような態度の背景には日本聖書協会内における何らかの内規(あるいは公的指針)が関係しているのか。
(これも、ありましたらお知らせしていただけると幸いです)

日本聖書協会は、当協会発行以外の他の訳の聖書に対する内規を持ちません。

3.学者向けに、神名を“ヤーウェ”と訳した新共同訳の版を出版することには関心があるか。
(そのような翻訳の需要が高いことは認識されていることと思います)

日本聖書協会は、神名を“ヤーウェ”と訳した新共同訳の版を出版することに、現在のところ関心はありません。

4.エホバの証人向けに、神名を“エホバ”と訳した新共同訳の版を出版することには関心があるか。
(日本のエホバの証人の伝道者数は22万人、実勢信徒数は30万人を超えます。日本のキリスト教人口が100万人ほどであることを考えると、無視できない数ですので、日本聖書協会の立場としては、エホバの証人の需要にも応えるべきではないのかということです)

日本聖書協会は、エホバの証人向けに、神名を“エホバ”と訳した新共同訳の版を出版することに、現在のところ関心はありません。

5.現在の新共同訳聖書全訳版の出版部数はいくつか。

新共同訳の頒布累積数:1987年発行〜2000年10月末3,963,295冊。

6.エホバの証人が新共同訳聖書に対してどのような見方をしているかを知っているか。
(知っているなら具体的に)

日本聖書協会は、エホバの証人が新共同訳に対してどのような見方をしているかを、知っておりません。

7.日本聖書協会は、新世界訳聖書の参照資料付き版を資料として所蔵しているか。
8.日本聖書協会は、「聖書に対する洞察」を資料として所蔵しているか。

聖書図書館蔵書:「新世界訳」聖書重要語句索引、付録つき
「聖書に対する洞察」は所蔵しておりません。

9.今後、エホバの証人の出版団体が日本聖書協会の聖書の出版許可を求めてきたなら、出版は許可されるのか。
(エホバの証人は、海外では聖書協会の聖書を出版しています)

日本聖書協会は、ご承知のように文語訳聖書、口語訳聖書、新共同訳聖書を発行しております。これらの聖書は、どうぞ日本聖書協会の出版物をお使いください。
対照で用いる場合には出版許可をお求めください。その都度検討させていただいております。
出版物に当協会発行の聖書をお使いいただく場合は、一字一句変えることなくお使いください。

10.今回答えられない等の問題がある質問について、今後改善を図る意志はあるか。
(該当する質問があった場合のみ)

財団法人日本聖書協会は、特定の教義、特定の教理にとらわれることなく、原文に忠実に本文のみを翻訳することを心がけております。そして必ず全教派的な共同作業による翻訳を目指しております。それ故、全てのクリスチャンを満足させる翻訳は存在せず、なるべく多くの人々に使用される公同的な聖書つくりを使命としていますので、この路線内で改善を図っております。


 簡単に解説いたします。
 聖書協会はプロテスタント各教派の外郭団体であり、エホバの証人はその主要な対立教派となります。
 聖書協会は伝統的に、エホバの証人を無視するか、活動を阻害するかしてきましたので、今回の質問状に対する回答にも、その傾向が顕著に示されています。

 6番目の質問に対する、「知りません」という返答も、そういう姿勢の結末でしょう。
 エホバの証人の出版物では、新共同訳聖書は時折引用されています。
 (「ものみの塔ライブラリ」をお持ちの方でしたら、データベースの不都合により“新共同訳”の検索では正しい結果がでませんので、“共同訳”で検索してください。いくつも引用が見つかるはずです)
 概して、エホバの証人は新共同訳聖書に好意的であると言えます。
 幾つかの聖句に関しては、翻訳上の見解の相違なども取り上げています。

 7,8番目の質問に対する回答ですが、ここで日本聖書協会は、索引などのついた、普及版の新世界訳聖書と、参照資料付き聖書とを取り違えているようです。
 参照資料付き新世界訳聖書は、全訳聖書としては日本では唯一の、写本の比較を密に行っている聖書ですので、学術資料として一級品ですし、「聖書に対する洞察」も、聖書百科事典としてやはり一級品です。
 こういうものを、「エホバの証人のものだから無視」というのはどうかと思います。

 9番目の質問に対する回答ですが、文語訳聖書はすでに著作権が切れており、最近では、岩波書店が抜粋で出版したりしています。
 日本聖書協会としては、文語訳聖書の著作権切れについてはアナウンスしない方針を持っているのではないかと思います。
 今後、エホバの証人の統治体の決定次第で、ものみの塔協会が文語訳聖書の印刷と刊行に踏み切ることは十分考えられます。

 10番目の質問に対する回答ですが、所蔵していない資料を取り寄せる意志が示されていないことが残念です。


 追記です。2003年3月の時点で、日本聖書協会の聖書図書館に参照資料付き版新世界訳聖書が蔵書されていることを確認しました。「聖書に対する洞察」は入っていないようです。

フレーム表示へ