新世界訳
エホバの証人の聖書

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最近は、日本においても多くの聖書が刊行されるようになっています。
聖書を利用する、あるいは購入する際に、どれを選択すればよいか悩むことがあるかもしれません。
ここでは、日本を代表する聖書翻訳を紹介します。ぜひ参考にされてください。

(この文書の内容は2019年12月時点のものです。)






◆ “新世代の聖書訳本”群

 日本では、2010年ごろから「聖書改訳の機運が熟した」という認識が広まり、日本を代表する聖書が一斉に改訳されました。これらの聖書の刊行により、それまでの訳本は世代遅れとなりました。

○ 聖書協会共同訳聖書 (カトリックとプロテスタント)

 「聖書協会共同訳聖書」は、日本聖書協会から刊行される聖書です。
 日本聖書協会は日本の主要プロテスタント教会の後ろ盾を得ている団体で、聖書を発行する団体としては国内においてもっとも権威があると見なされています。この日本聖書協会が、カトリックと手を組み、この聖書の訳業を行いました。この聖書は日本の聖書のスタンダードとなると見込まれています。
 この聖書は、「礼拝での朗読にふさわしい、格調高く美しい日本語」を持ち備えた聖書を目指して翻訳されました。翻訳にあたっては、翻訳者が組み立てた訳文をその場でちくいち“日本語の専門家”がチェックし、さらに“朗読テスト”を行うという具合に、入念な手順が採られました。
 残念なことに、この聖書は完成度が低いです。この聖書の問題はすでにいくつかの方面から指摘されているようですが、今のところその代表は私による「「聖書協会共同訳聖書」辛口レビュー」です。この聖書は今後大幅改訂を余儀なくされるかもしれません。

○ 新改訳聖書2017 (ファンダメンタル)

 「新改訳聖書2017」は、新日本聖書刊行会から刊行される聖書です。
 新日本聖書刊行会は日本の福音派プロテスタント教会(ファンダメンタル教会/原理主義教会/根本主義教会とも言う)の後ろ盾を得ている団体です。
 この聖書は、ファンダメンタルな聖書解釈に合うように訳されています。よく指摘される点ですが、原典を読み替えて“イエスは神”としてしまった訳文が見られます。ファンダメンタルによる聖書であるということで、社会的信用は低くなっています。
 とはいえ、この聖書は完成度が非常に高く、多く点で優秀です。日本聖書協会が迷走してしまっている今、新改訳聖書2017の果たす役割は必然的に大きくなっていくと思われます。

○ 新世界訳聖書2019年改訂版 (エホバの証人)

 「新世界訳聖書2019年改訂版」は、ものみの塔聖書冊子協会から刊行される聖書です。
 ものみの塔聖書冊子協会はキリスト教の一教派であるエホバの証人の後ろ盾を得ている団体です。
 エホバの証人は原始キリスト教の復興を目指しており、聖書の翻訳も原始キリスト教の読み方にしたがって行っています。よく指摘されるのは、「教会」、「地獄」、「十字架」といった、現代のキリスト教の用語が出てこないことです。現状では、原始キリスト教の読み方で聖書を読もうと志す人にとって選択肢はこの聖書しかありません。
 この聖書は“読みやすさ”の点で卓越したところがあります。
 一般のキリスト教会は、エホバの証人のことを偽物のキリスト教だと見なしています。また、一般社会はエホバの証人のことを新興宗教だと考えており、カルトだという意見も普通に見られています。新世界訳聖書についても“エホバの証人の教義に合わせて改竄された偽物の聖書だ”という主張が見られています。そのため、新世界訳聖書に対する社会的信用は全くありません。
 この聖書の重要な特徴として、点字版と手話版があるということが挙げられます。
 現時点で、このウエブサイトが、新世界訳聖書2019年改訂版についてもっとも詳しいサイトとなっています。この聖書の特徴は「新世界訳聖書改訂日本語版の特徴」にまとめてあります。

○ リビングバイブル改訂新版 (ファンダメンタル)

 「リビングバイブル改訂新版」は、日本を代表するキリスト教出版社であるいのちのことば社から刊行される聖書です。
 この聖書は、読みやすさと理解のしやすさを最優先にして訳されています。そのため、訳文は聖書原典と一致していません。ファンダメンタルな傾向が強いのもこの聖書の特徴になっています。
 この聖書は、これまでは「子供向け」くらいに思われ、読みやすい以外の点では全く評価されてきませんでしたが、改訂新版になってかなりの完成度がみられるようになっていますので、今後は評価がつくようになるかもしれません。






◆ 前世代の聖書

 前世代の聖書については、「新共同訳聖書」と「新世界訳参照資料付き聖書」とが、新世代の聖書と併用されることになっています。それ以外の聖書は古いものとみなして構わないでしょう。
 2010年代より前の、主要な聖書は以下のようになります。

○ 新共同訳聖書 (カトリックとプロテスタント)

 この聖書は現時点で日本の聖書のスタンダードとなっています。まもなくその地位を聖書協会共同訳聖書に譲るでしょう。

○ 新世界訳参照資料付き聖書 (エホバの証人)

 この聖書は、聖書原典のかなり厳密な字義訳が特徴となっています。2019年改訂版の刊行により、新世界訳聖書には原典に忠実な版と読みやすい版とがあってこれらを併用するということになりました。そのためのアプリもリリースされています。

○ 新改訳聖書 (ファンダメンタル)

○ 口語訳聖書 (プロテスタント)

○ 文語訳聖書 (プロテスタント)






 この文書をご覧になる方の中には王国会館の図書を担当している方がおられるでしょう。その方は「わたしたちの王国宣教」1992年11月号の内容を承知しておられるはずです。



◇ 「わたしたちの王国宣教」1992年11月号, ものみの塔聖書冊子協会

 聖書の知識を収めた聖書文書を中心とした王国会館の図書は,会衆の成員はもとより研究生にとっても貴重な備えです。充実した図書が設けられることにより,3,000近くの会衆が益を受けることになります。この図書の目的は,聖書を研究したり特別の情報を調べたりするために,ほかでは入手できない協会の出版物や参照用書籍を利用できるようにすることです。―使徒 17:3。
 含めるべきもの: 王国会館の図書に何を含めるべきでしょうか。まず最新のものを含む協会の種々の出版物,可能であれば幾種類かの翻訳聖書や辞書などを図書棚に備えることができるでしょう。調べたり研究したりすることを意図して準備された「ものみの塔出版物索引」や,最新の情報を収めた「洞察」の本(英文)は神権図書を充実させるのに不可欠です。



 ものみの塔聖書冊子協会としては、どの訳本を図書に加えるべきかを具体的に指示しているわけではありません。そうすると、具体的に指示のないことはなんとなく行わないという消極的な方針に基づいて新規の聖書の購入を全く行わない会衆があったりします。うちには新世界訳聖書しか置いていないというずさんな王国会館もあります。
 そこであえて私からひとこと言っておきますが、上記の聖書は図書に揃えておくべきです。






 購入前に訳文の比較を見たいという方は、とりあえず「新世界訳聖書の特徴」をご覧ください。このウエブサイトにはほかにも多数の文書があります。