新世界訳
エホバの証人の聖書

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マタイ 21:9

◇ 新世界訳参照資料付き聖書 ◇ (エホバの証人)
群衆は,彼の前を行く者も,あとに従う者も,こう叫びつづけた。「救いたまえ,ダビデの子を! エホバのみ名によって来るのは祝福された者! 彼を救いたまえ,上なる高き所にて!」

◇ 新改訳聖書 [第三版] ◇ (ファンダメンタル)
そして、群衆は、イエスの前を行く者も、あとに従う者も、こう言って叫んでいた。「ダビデの子にホサナ。祝福あれ。の御名によって来られる方に。ホサナ。いと高き所に。」

◇ 新世界訳参照資料付き聖書英語版 (NW/Reference Bible) ◇ (エホバの証人)
As for the crowds, those going ahead of him and those following kept crying out: “Save, we pray, the Son of David! Blessed is he that comes in Jehovah’s name! Save him, we pray, in the heights above!”



 これは、エホバの証人統一協会対策香川ネットという反対組織の主宰者である自称宗教研究家の正木弥氏が製作した「ものみの塔の新世界訳聖書は改ざん聖書」という冊子の「増補版」に追加された聖句です。

 増補版が出るまではマタイ 24:3が最初の項目でしたが、こちらが最初になりました。



◇ 「ものみの塔の新世界訳聖書は改ざん聖書<増補版>」, マタイ 21:9の項, 正木弥

 ① ギリシャ語本文の下線部分 τω は、“与格”(~に)の冠詞であって、“対格”(~を)の冠詞ではありません。よって、正しくは「ダビデの子に」です。新世界訳(日本語)「ダビデの子を!」は、意図的誤訳です。
 ② 新世界訳(英文)「エホバのみ名」は改ざん訳であり、正しくは「主のみ名」です。「34 神のみ名 新約聖書の273箇所」を参照してください。
 ③ 新世界訳(英文)の「him」は付け足しです。ギリシャ語本文に、それに当たる語はありません。やはり、意図的付け足しです。
 ✣ 上の①と③の誤訳には、ダビデの子[イエス・キリスト]を(救い主としてではなく)救われる対象へと、立場・役割を低める意図がうかがわれます。



 ここで用いられている「ホサナ」は「ハレルヤ」などと同じで賛美の言葉です。新世界訳聖書は、この種の語を音訳せず意味を充てる方針を持っています。そのほうが多くの読者にとっては分かりやすいでしょう。



啓示(黙示録) 19:1

◇ 新改訳聖書 [第三版] ◇ (ファンダメンタル)
この後、私は、天に大群衆の大きい声のようなものが、こう言うのを聞いた。「ハレルヤ。救い、栄光、力は、われらの神のもの。

◇ 新世界訳参照資料付き聖書 ◇ (エホバの証人)
これらのことの後,わたしは大群衆の大きな声のようなものを天に聞いた。彼らは言った,「あなた方はヤハを賛美せよ! 救いと栄光と力はわたしたちの神のものである。



 新世界訳聖書は、「ホサナ」を「救いたまえ」と訳したうえで訳文の組み換えを行っています。「ダビデの子に救いたまえ」では文章としてはおかしくなるので「ダビデの子を救いたまえ」とするということです。これは聖書の翻訳では普通に行われていることで、何も不審なことはありませんが、正木氏はこれを「意図的誤訳」と言っています。
 そのうえで、この「意図的誤訳」には「イエスを救いの対象へと低める意図」があると主張するのですが、そう主張するなら、問題にするべきなのは「ホサナ」が「救いたまえ」と訳されているほうだと思います。助詞の使い方は関係ないでしょう。



◇ 「生活と奉仕 集会ワークブック」の資料, nwtsty マタ 21:9 注釈

 救いたまえ: 字義,「ホサナ」。このギリシャ語は,「救いたまえ」または「どうか,救ってください」を意味するヘブライ語の表現から来ている。ここでは,神に救いや勝利を求める嘆願として用いられており,「救いをお与えください」と訳すこともできる。この語はもともと祈りを指すだけだったが,やがて賛美の表現にもなった。この語の元になっているヘブライ語の表現は詩 118:25に見られる。この聖句は過ぎ越しの期間に歌われたハレル詩編の一部だったため,人々はその時期にこの表現をすぐに思い浮かべた。ダビデの子の救いを求めるこの祈りに神が答えた方法の1つは,イエスを死から復活させることだった。マタ 21:42で,イエス自ら,詩 118:22,23を引用し,メシアに適用している。



詩編 118:25

◇ 新世界訳参照資料付き聖書 ◇ (エホバの証人)
ああ,どうか,エホバよ,救ってください。お願いです! ああ,どうか,エホバよ,成功させてください。お願いです!



 英語の“him”も同じような話です。「ホサナ」を“Save”と訳したので目的語が必要になったというだけのことです。気にすることではありません。

 私はこれを読んで残念に思いました。
 正木氏の書く文章にはそこらじゅうが支離滅裂であるという深刻な問題があります。私はそれを一通り指摘してきましたが、どうも彼はそんな私の心配をよそに我が道を突き進んでいるように見えます。

 エホバの証人には、イエスを「救い主」から「救われる者」に格下げしてやろうという意図があるのでしょうか。もちろんそのようなことはありません。あるはずもありません。だって、そんなことをする宗教はキリスト教だと言えないじゃないですか。正木氏がそういうことを主張しているだけです。
 正木氏の主張には相変わらず度を越したところがあると思います。これはエホバの証人に対する誹謗中傷です。エホバの証人に限らず、キリスト教の一教派に対してこのような主張を行うことがどれほど屈辱的な仕打ちとなるか考えてみてください。これはやりすぎというものです。

 正木氏にはもう見込みはないと私は感じました。あまりにひどいうえにエホバの証人に対する迷惑も甚大なので、正木氏はこの職業から引退すべきだと思います。
 この人、こんなことを懲りずに続けてついに裁判になったらどうしよう、とか思わないのでしょうか。無思慮にこういうことを続けているとそのうち痛い目に遭わされると、ここで念押ししておきたいと思います。

 新世界訳聖書は新約聖書において神名の復元を行っています。「エホバ」が「主」に替えられているところは戻すということです。これも多くの読者にとっては分かりやすいでしょう。これについてはローマ 10:13の項や、「“エホバ”復元問題」をご覧ください。